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向井秀徳による妄想夢物語集『厚岸(あっけし)のおかず』初の著書!
<リリース文> 北海道は厚岸に住む演歌歌手・室哲也、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズとその仲間、やたら腕のいい狙撃兵、バングラディッシュのある男の 子……彼らを結ぶ「何か」とは?——新しい形のフィクションを提示した表題作をはじめ、「サルワタリ・ワープ」「ミツルの夏休み」「林長明 焼肉事件」他、全23の掌編を収録。奇才・向井秀徳の新境地。装画/挿画・五木田智央
イースト・プレス 定価 本体1400円+税
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厚岸とは何か

★『厚岸のおかず』とは何か?
滑崎梯三(以下、滑崎)「どういう経緯でこの『厚岸のおかず』は生まれたの?教えてよ」
向井秀徳(以下、向井)「どうもこうも、まず、『妄想処方盤』という、タワー・レコードのウェブ連載がありまして、これは何かというと、毎回、お題を出されて、例えば"花見で聞きたい曲"とか、"学園祭で聞きたい曲"など、私がお題に見合うCDを選ぶ、というものでした」
滑崎「で?」
向井「毎回、その場の思いつきで、シチュエーションを作り、それを物語にする、っちゅうもんだったんです。いわばインプロヴィゼーション」
滑崎「タイヘンだった?」
向井「まあ、毎度、脳天からネタを搾り出す、カンジだったね。突発的に」
滑崎「で?」
向井「それをまとめて本にしたいという編集者がアポなしでやって来まして」
滑崎「ほう、で?」
向井「私としては、ウェブでも読めるし、わざわざ本にすることないんじゃないスか、って言ったんです。すると編集者が、"書き下ろしとか、追加でいれちゃって下さい。何でもいいんで"って言ってきて」
滑崎「何でもいい、か。で?」
向井「元の連載の素材を使って、新たに物語化し、さらに新作を語り下ろしたのが、この『厚岸のおかず』」
滑崎「なるほど。そこでハシモト(雑誌HB編集人 / ライター)が登場」
向井「そう、フリー・スタイル・インプロヴィゼーションで喋り倒した物語を、ハシモトが文章化してくれました。それらをベースに私が小説に仕上げ、結果、得体の知れないシロモノになった、というわけです」
滑崎「この本のタイトルの由来は一体なんなの?おかずって、なんかグルメ本みたいだね」
向井「厚岸(あっけし)は北海道にある町で、まあ、行ったことはないんですけど、なんせ思いつきなんで、なぜこのようなタイトルになったのか、正直よくわからない」
滑崎「『素顔のままで』っていう話は、とってもバブリーな時代の匂いがするけど、あの頃は羽振りよくてね、オレも」
向井「まあ、ケンウッドのミニ・コンポを鳴らしてましたね、皆」
滑崎「戻りたいわ、正直。で、『国立セイント・ジョン・フリン・スクール』に出てくる"Sケン"っていう遊びは、何?」
向井「地面に大きな"S"の字を書いて・・・ケトばし合う、非常にパワフルな遊びです」
滑崎「オレはやったことないね。『TOSATSUマン』が持ってるライフルって何?」
向井「レミントンM870です。ポンプ・アクションの」
滑崎「がしゃこーん、てね。オレもハワイで撃ったわ」
向井「そうスか」
滑崎「『雨がソイツのゲロを洗い流す』の主人公は酒弱いね」
向井「弱いっスね」
滑崎「オレ、最近アレ呑んでんのよ、マッコリのホッピー割り。好き?アレ」
向井「いや、ソレはないっスね。まあ、ちょっと、他なんか質問とかありますか」
滑崎「あ、そっかそっか、そうだよね。じゃあ『林長明 焼肉事件』について聞きたいんだけど、あの話はやけに不穏だねえ」
向井「あの話は、私が書き下ろしました。夜中に一人で書いてたんで、たしかに、なんともいえない寂寥感が漂ってる」
滑崎「ふーんなるほど。じゃあ最後に、次回作の予定はあるの?」
向井「次はZAZENですね」
 

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